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パソベッツこじま 大動物診療部 in 川南町

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いざ!と言うときの備え

 依然として災害地域での物資の不足が伝えられています。

当院に現地から避難して来た方が来院されました。3人家族(旦那さんがフランス人、奥さんは日本人、もうすぐ3歳の男の子でした)で被災後、東京の知人のところへ避難し、その数日後に宮崎の知人宅へ避難して来たそうです。数日以内に日本を出国しフランスへ戻りたいと言うことで、ペットの猫ちゃんの出国手続きに関して来院されました。宮崎県内でもかなり遠方から電車とタクシーを乗り継ぎ来院されました。

昨日、電話で事情を聞いていたのでフランス大使館等で出国に関する必要事項を事前に調べておきました。フランスはEU諸国統一の出国審査用の様式があります。それにしたがって準備が必要です。

1.マイクロチップの埋め込み
2.狂犬病のワクチン接種
  1月間隔で2回接種し、その後抗体検査が必要(EUが定める機関へ血液サンプルを送付し検査を依頼)
3.外部寄生虫の駆除(ノミ・ダニ)
4.エキノコックス症の駆除

上記を実施し英文証明書を発行します。2を除いてすぐに出来るのですが、2回接種しその後に検査・・・。今回は緊急事態ということでフランスが許可をするかどうか不明です。とりあえず1回接種し、すべての処置を行い証明書を作成し飼い主さんにお渡ししました。子どもの頬には新しい切り傷がありました。被災したときのものかどうか分かりませんが、出国の準備などで毎日ばたばたしているのだろう・・・と感じました。ご夫婦ともに疲れた様子でした。
御代はいくらですか?・・・と言われましたが、とても請求する気にもなれず微力ですが私からの支援として全ての処置と手続きをさせていただくことにしました。我が町は大変な田舎なので特急が止まらないため、妻が隣町の駅まで送り届けました。駅に着くまでに子どもは車の中で寝入っていたそうです。子どもも疲れがたまっているのだと思いました。
無事に猫ちゃんを含む家族全員出国できればと祈るばかりです。


当院では毎年1~2件海外への渡航のためにペットの渡航手続きを行います。少ないですがこれまでに数カ国の手続きを行いました。その中で一番問題になるのが、狂犬病のワクチンです。これまで経験した国の全てが上記のように2回接種し、その後抗体検査(しっかり免疫ができたかどうかの確認)です。抗体検査も日本の検査機関(国内に1箇所)で良いところもあるし、先方の指定する機関での検査を求めるところもあります。ほとんどの場合、出国日が決まってから出国の準備をするため「ペットには何が必要なんだろ?」と調べると上記のような1~3または4までの処置を求められます。狂犬病のワクチネーションと抗体検査が間に合わない!!!ということが多くあります。
海外への渡航予定がある方は、犬・猫については毎年狂犬病のワクチンをしっかり受けましょう!そうすれば約1月は時間短縮が出来ます。

もちろん蔓延防止のためにも渡航予定のない人も「犬」については受けてください!
by pathovets | 2011-03-19 21:13 | 何でもコメント