パソベッツこじま 大動物診療部 in 川南町

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川南からすべての牛と豚が消え去りました

 本日、川南町においてはすべての牛と豚の殺処分が終了しました。
 
 最後の処分に行った農場は、私にとって非常に思い出深い農場です。
 動物病院を開業し、はじめの数ヶ月間犬猫の患者さんの来院は週に2~3件でした。さらには産業動物の往診の依頼は”ゼロ”でした。いくら田舎といっても、こんなにお客が来ないのであれば生活が出来ない。そこで「妻:クミコ先生と今月の売上げを設定し、それに届かなければ病院運営はやめよう」と言うことを話しました。今、考えるとたまたまその月に売上げが上がっただけだったと思いますが・・・。

 その月の夜中に電話が鳴りました。
「獣医さんですよね?牛も診れますか?難産だけど、いつもお願いする獣医さんがどうしても来れないようなんです。」

電話は4kmくらい離れたK農場でした。夜中でしたが、初めての往診依頼の電話によろこんで農場へ向かいました。冬の夜中でしたが、私が道に迷わないように奥さんが農場の前の道路まで出て待っていてくれました。
着いてすぐ処置をして、無事に新しい命が誕生しました。
道具を洗ったり、着替えをしながら世間話をしていたら、
「はじめて頼むから、ちゃんと診察できるのか不安でした」と率直に感想を頂きました。確かに、自分の財産をどこの誰とも知らない者に托すのですから、当たり前のことだろうと思いました。

それから、往診に呼ばれるようになり他の農家さんを紹介してもらったりして少しずつですが顧客が増えていきました。また、犬猫などの小動物の顧客も増えていきました。

それから7年、そんな私にとって思い入れのある農場が最後の仕事?!何と言うことでしょう!!!

農場へ向かうバスの中で、はじめて往診に行ったときのことが鮮明に思い出され、今まで診てきた牛のことなど・・・たくさんの思い出が頭をぐるぐる巡りました。
とめどなく涙が溢れ、どうしようもなくてタオルで顔を覆いました。途中でバスから降ろしてもらおうかとも思いました。
しかし、そんなことを考えている間にもバスは農場へ着いてしまいました。

こころ苦しい数時間の作業を夕方に終了しました。

最後の1頭は私が処分しました。また、涙が溢れました。もう止まりませんでした。最近右手は腱鞘炎で手のひら全体に常に痛みがあり、手に触れる感覚も鈍くなっています。その右手は震えていました。左手で右手を握り震えを抑えました。

「なにか犯罪でも犯したかのような変な気分でした」

いつもなら使用した器具等の後片付けの最後までやって場内から出るのですが、今日はある程度までして残りは家保の方にお願いして場内から出ました。

水道のホースを顔に当て涙がおさまるまで顔を洗い続けました。

頭から水をかぶり着替えをしました。帰りのバスに乗り込み、県外の獣医さんに「目が赤いよ!消毒剤が入ったんじゃない」とお気遣いいただきました。

もう明日から牛を殺さなくてもよくなります。

私も、少し疲れました。

数日ゆっくりできたら・・・と思っています。
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by pathovets | 2010-06-30 21:54 | 口蹄疫 | Comments(34)

終了日程ありき

 今日も土砂降り。今日は200頭の繁殖農家でした。14時30分頃終了しました。
今日の作業予定はここまでの予定でしたが、急遽肥育農家へ行け!との指令。
そして、約500頭のうちの150~200頭を今日中に終わらせよ!

現場の家保の責任者も「そんなに急ぐ必要はないのでは?本来明日の予定になっているのだから」と。しかし、上司には逆らえず、我々に「すいませんが・・・」と頭を下げ・・・。
終わったつもりの我々は、肥育農家へ。そこへ到着すると我々と同じように、今日の予定を終了させた全部の作業部隊が集結していました。こんなに作業員がいるのか!というほど大勢の人間でした。
 人が多すぎて非常に危険でした。私も作業始まって以来はじめて、危険な目に遭いました。打撲程度で済みましたが・・・。疲労で集中力に欠き周りが見えない人、妙な使命感に燃えて俺が!俺が!といきり立って注射器を持ってうろうろする人、様々です。みんな、一呼吸おいて!一歩下がって冷静に!
残り数日で終了しそうですが、このままでは大きな事故が起こりそうで・・・

 対策本部は、なぜそんなに急ぎたがるのか?通常のペースでも数日中には終了するのに。

やはり、国からの圧力なんですかね~~~~。

選挙が絡んでいるんでしょうね!!!!!!!!!!

お国の事情で、我々作業者の安全はどうでもいいのでしょう。

        ~~~~~~~~~我々の命も軽く見られたもんだ~~~~~~~~~
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by pathovets | 2010-06-29 21:34 | 口蹄疫 | Comments(28)

そのうち死人が出るのでは・・・

国からの圧力?選挙があるから?とにかくワクチン接種動物の殺処分を来週中を目途に考えているようです。
一刻もはやく終了すべきなのは誰しもの願いです。

しかし、ワクチン動物の殺処分が始まってから1日に3~4件の農家を回りながら殺処分する毎日です。
 
どしゃぶり か うだるような暑さに我々作業従事者は疲労困憊です。

水浴びをしているかのように汗が噴出し、脱水を予防するために水分を補給。するとまた、汗が噴出し、水分補給。この繰り返しですが、いくら汗をかいてもそんなに水分を摂取することもできません。
特に、東北や北海道あたりの涼しい地域から来られる方には、非常に過酷だと思います。地元の私もどうにかなるのでは?と思うことがあります。
この状態で続けるとそのうち死人が出るのでは???と思ってしまうほどです。
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by pathovets | 2010-06-27 21:37 | 口蹄疫 | Comments(31)

野生動物への感染の心配

 野生動物(特にイノシシ、シカ)への感染が非常に心配されるところです。ちまたには様々な噂が流れておりますが、現在のところ野生動物への感染の公式報告はありません。市町村により対応が異なりますが、川南町では有害駆除の際にシカやイノシシの感染の有無について調査が依頼されております。山手の方では野生動物が牛舎の傍まで出てきたり、放牧場にシカやイノシシが入り込んでいる箇所も珍しくありません。

 先日もテレビで木城町の町営牧場に多数のシカがいる光景が流れたそうですが、あれは木城町の牧場ではなく川南町の町営牧場の間違いだと思います。信じられないことに川南町の町営牧場では、つい最近まで牛を放牧していました。今日現在は不明ですが・・・。
 これだけの被害を出しながら、まだわからないのか?一体何を考えているのか?怒りというより不思議でなりません。町長の認識の程度を直接聞いてみたい!
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by pathovets | 2010-06-26 15:14 | 口蹄疫 | Comments(28)

質問コーナー

ご要望のありました質問コーナーを設けました。「Q & A」としてカテゴリ設定しましたので。
可能な限りお答えしていきたいと思います。
このコーナーは口蹄疫に限らず、ペットなどについてもどうぞ!
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by pathovets | 2010-06-26 15:01 | Q & A | Comments(95)

~ぼくの通学路~

 今日もどしゃぶりの雨の中、ずぶぬれになりながらいつものように「殺処分」。まるで滝で「みそぎ」を受けているかのようだった。夕方、3件全ての処分を終え、疲れきって迎えのバスをびしょぬれになりながら待っていた。そこへ下校途中の小学生が通りがかった。お互い「さよなら」と挨拶を交わしたが、彼には我々の集団はどう見えたのだろうか?

「何か白い服を着たおじさん達」???

「なんとなく聞いていた・・・。ひょっとして、、、これが、こうていえきってやつ」???????

いつも通いなれた通学路。
彼の通学路にはいくつもの農家があり、毎日何気なく聞こえていた牛の声、珍しくもなく目にしていた牛たち・・・。

明日からは「あの声、あの光景」がなくなるんだね。

 
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by pathovets | 2010-06-25 20:39 | 口蹄疫 | Comments(4)

みなさんの知恵を!

私たちは現場の生の声を届けることと同様に、今回の口蹄疫の拡大要因を真摯に追及し、今後に生かすことが重要と考えています。

そして、全国の様々な立場の方の注目があり、あるいは心配の目をそそいでくださっている今こそ、多様な知恵を結集できる好機かもしれないとも思えます。

記事とは別に色々な提言のコメントを入れられないか?というご要望も頂いていましたので、この記事のみ「何でもコメント」カテゴリに入れます。

記事とは関係ないんだけど・・・や、こういう案はどうでしょう、等のご意見がある方は、ぜひこちらのコメント欄をご利用ください。右バーのカテゴリから「何でもコメント」カテゴリを選んでください。

活発な議論の場になるよう、よろしくお願いします。

(クミコ記)
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by pathovets | 2010-06-24 23:46 | 何でもコメント | Comments(149)

最後まで生真面目な方でした

 今日の1件目は10頭飼育のTさんの農場でした。私がお世話になっている農家さんです。日頃から非常に生真面目で、往診の際に私が「こうした方が・・・」「この牛の状態は・・・」と、飼育に関する助言や最近の情報、病気の説明などその場で話をしたことはノートに几帳面に書き残しておられます。何月何日の何時まで・・・。
餌もグラム単位で計って給餌しますし、当然毎日の牛の状態も非常に詳しくメモを取られています。
 ですから往診に行って経過を聞くと、自分で経過を見ていたかのようによく分かります。だから、この農場の牛は非常にすばらしい牛ばかりです。

 今日も作業開始前に作業員全員へ「皆さん、今日は大変お世話になります。よろしくお願いします」と挨拶されました。その後、私がそばに行くと「先生が来てくれてよかった~!」と言ってくださいました。今からあなたが手塩にかけた財産を奪う者に対して・・・

そして、作業が終わった後私の家にわざわざ電話して

「先生には最初から最後までお世話になりました」

と妻に伝えたそうです。私はまだ家に戻っていませんでしたので直接話はしませんでしたが。

大変な時に・・・Tさんらしいなと思い、少し癒されました。
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by pathovets | 2010-06-23 22:10 | 口蹄疫 | Comments(17)

叔父さんの家の牛も処分

 今日は3件の農家の殺処分に行きました。ここ数日は、小規模農家を1日に3件前後処分するようになりました。
 今日の農場には私の叔父さんの農場も含まれておりました。農場に着いて叔父さんと二言三言会話して

叔父さんは「本当に処分せんといかんのか?!」と
私は「仕方がない!」としか言いようがありませんでした。

私達作業員が農場に行くまでは、叔父さん自身も覚悟は出来ていたと思うのです。しかし、いざ我々白装束の作業員が農場内にぞろぞろと入ってきた光景をみて「殺処分の現実」を感じたのだと思います。

私はそこでも淡々と処分を行いました。
農場を出て、着替えているときに一緒に入った方から作業前に
私と話をした後に  「叔父さんが泣いていた」  ことを知らされました。
叔父さんのやるせない気持ちは十分分かっていました、私も・・・つらかった。


6年間莫大な学費を出してもらって大学に通い、苦労して国家試験をパスして手にした獣医師免許。
その時に、こんな作業に従事することなど誰が予想したどろうか?
今、獣医師になろとしている学生、獣医師になりたいと夢見ているちびっこ達は、こんなことも考えて獣医師を目指さなくてはならないのだろうか・・・、あまりに酷だ!
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by pathovets | 2010-06-23 21:25 | 口蹄疫 | Comments(7)

改めまして皆様にお知らせとお願い

改めまして皆様にお知らせとお願いです。
当ブログはリンク・転載フリーです。
許可なく使っていただいて構いません。

たくさんの方にごらんいただき、コメントも多数いただき感謝しております。
すべての方のところに足を運ぶのは難しい状況ですが、いくつかのHPも覗かせていただいています。
真剣に、適切に紹介してくださり、どうもありがとうございます。

一方で、他の根拠のない噂と同様に、書く側の意図と異なるとらえ方をされ、おかしな伝わり方をしているのではないか?とのご指摘も頂いています。
私たちの発信する内容から読者がどのように感じるのかは窺い知れない部分が大きいので、どこまでも追跡することはできません。
情報が独り歩きすることの恐ろしさも感じつつあります。

私たちができるお願いは、内容に手を加えずに転載していただくこと、あるいは記事そのもののリンクを貼っていただくこと、くらいでしょうか。


先日の安楽死とは何か?の記事に対する反響で気になっていることがあります。
まず、そこまでうがった見方をする方はいないと思いますが、作業従事者の誰一人として動物虐待をしたいと考えているものはおりません。
記事中の現場責任者の一人のお方も、例外ではありません。
コメント欄に一言書き添えてありますが、扱っているものの性質上、作業に使う多くのものが使い捨てになっており、毎日の資材に莫大な経費がかかっています。
節約できるものは節約する。これは当たり前の発想です。
発生当初、混乱から物品を選択する余裕もなく、とりあえず買ってとりあえず使ってという形で作業が進んできましたが、長期化するにつれて行政側も様々な工夫をされています。
薬剤は決して不足はしていませんが、同様の考えから発せられた言葉だったのかな、と想像します。
そして、現場の獣医師側も間違っていることは間違っている、とはっきりと意思表示していますので、少なくとも夫が入る農場では薬剤が節約されることはありません。
先日は不足分を県職員が取りに戻ってくれた、とのことでした。

このことを問題として記事にしたために、行政側への反発が強くなったとしたら、それは私たちの意図するところではありません。
現場責任者は、現在宮崎県家畜保健所(家保)の職員が担当しており、現場のあらゆる状況を俯瞰しながら関係各方面のコーディネートに当たっておられます。
いろいろな立場の方から現場の様子についてお聞きしますが、例えば処分対象動物の取り扱いがぞんざいであったりすると、家保職員がとんできて「作業は手順どおりにお願いします」といった声かけがなされることもあるようです。
概ね、動物の痛みや苦痛をなくすという点においては、心が配られているように感じます。

間違っていることはそれぞれが遠慮することなく意見を出し合い、改善していけばいいだけのこと。
ブログでとりあげたことによって、特に県外から応援にきてくださっている従事者のみなさんも、これはどうかな?と思うことを心にしまわずに発言できる雰囲気になるといいな、と思っています。

(クミコ記)
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by pathovets | 2010-06-21 10:39 | Comments(31)