パソベッツこじま 大動物診療部 in 川南町

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経済動物? 家族の一員?

 私は大学で牛、豚、馬は産業動物(大動物)に大別され、経済動物とも言われるように経済性が重視されます。経済性とは具体的に繁殖効率、飼養効率などです。このことから治療に対して治りが悪いもの、これ以上治療しても回復の望みが少ないもの等のいわゆる経済性が悪いと判断されたものは「予後不良」と判断し、廃用(つまり処分)が望ましいことを告げるよう教育を受けてきました。

 今日も殺処分に行って来ました。私は農場に入ったら、まず飼い主さんへ挨拶することにしています。そして牛たちに手を合わせます。
 いつもと変わらず餌を食んでいる牛、何かを察知してかこちらをジッと見つめる牛・・・

 これまで約半数の飼い主さんに挨拶することができました。残りの半数の方は、処分がつらく家の中から出ることができない状態にあります。
 挨拶することのできた飼い主さんは皆涙を浮かべ「よろしくおねがいします」と深々と頭を下げられます。今から自分の財産であり、家族同様の牛たちの命を絶ってしまう私に対して===何とも言い様のない雰囲気が漂います。

 今日伺った農場の方は私との挨拶の後、「この牛は少し神経質だから気をつけてね」「この牛は分娩予定日を過ぎて乳も張ってきたから今日か明日には分娩しそうなんだけど・・・」「この牛は後ろ足が痛いから・・・」と最後まで私たち作業従事者と”わが子”を気遣った。
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# by pathovets | 2010-05-29 22:11 | 口蹄疫 | Comments(2)

口蹄疫発生 ブログの存在意義

のどかな日常の診療模様をブログで配信しようかな、と考えていた矢先に「口蹄疫発生」の激震が走りました。
発生当初から状況把握→関係各所に掛け合う、を繰り返し、自宅待機を余儀なくされていましたが、現在は現地対策本部の指示のもと、院長が連日感染動物の殺処分業務に携わっています。

川南町を中心とする現在の口蹄疫発生地域は、すなわちそのまま私達の診療区域でもあります。
全頭殺処分が決定され、生産者の皆さんも飼育動物を失いますが、農家と一心同体である私たち獣医もまた、同様に仕事を失うことになります。
将来に不安がないといえば嘘になりますが、今はとにかく終息に向けて全力を尽くすのみです。

そして微力ながら現場の状況を発信することも一つの使命と考え、緊急的にブログを開設しました。

殺処分は牛の扱いに不慣れな応援獣医師の方々にも大変負担の大きい作業だと思います。
夫にとっては、お世話になっている農家さん宅で、自分が必死に治療してきた牛たちを生産性という目的のないまま死に至らしめる作業でもあります。
日常の往診業務とは比べ物にならないほどの疲労の色を浮かべて戻ってくる夫に代わり、日々のブログ管理はヒラ獣医のクミコが行いたいと思います。

ブログは良きも悪しきも、自分の考えを自由に発信しながら、全国の様々な立場の方とダイレクトにつながることのできるツールだと思います。
疑問や質問があれば、遠慮なくぶつけてください。
獣医師の目線から、分かる範囲で可能な限りお答えしたいと思います。

(クミコ記)
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# by pathovets | 2010-05-27 23:59 | 口蹄疫 | Comments(3)

動物病院 パソベッツこじま

パソベッツこじまは、宮崎県児湯郡川南町にある動物病院です。

院長の獣医学博士 小嶋 聖(せいじ)と、その妻で獣医師の小嶋 久美子 2人で切り盛りしています。
大動物診療部は院長の担当領域です。

畜産の盛んな地域という特性を反映し、診療対象は牛や馬などの大動物から、犬や猫、ウサギ、鳥類、その他小動物などの伴侶動物まで幅広く、地域の動物たちの良きホームドクターとなれるよう、日々精進しています。

診療時間は8:00~12:00、13:00~19:30 予約診療制です
休診日は設けておらず、お盆・正月も休みはありません。学会参加等で留守にする時だけ、臨時でお休みをいただきます。

TEL:0983-27-5907

(クミコ記)
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# by pathovets | 2010-05-27 23:39 | 動物病院について | Comments(0)

口蹄疫の過酷な現場

 殺処分に関わるものとして実際の現場についてお知らせしたいと思います。これまで牛を治す立場だった私が、ある日突然発生した「口蹄疫」により自分の町の牛をすべて殺処分しなければならなくなりました。
 発生当初から県・町には病気の拡大防止のために色々と要望しましたが、何一つ聞き入れていただけないままあっという間に町内全域に広がってしまいました。発生当初より獣医師が病気を拡散しないように診療を中止するよう通達が出され、診療もできなくなり口蹄疫以外の病気の牛たちも犠牲になってしまいました。そんな悶々とした日々を送っておりましたが、県外から多くの獣医師の方が応援に来ていただき地元の獣医師が何もしないのは・・・と殺処分に参加することを決めました。農家の方のご苦労は多くのメディアで紹介されているとおりです。いやそれ以上でしょう。
 私は、実際に殺処分の現場に携わる立場、獣医師としての立場で皆さんに情報を発信していきたいと思います。処分に関わる関係者は作業内容により異なりますが基本的に防護服、ビニール手袋、マスク、帽子、人によってゴーグルを着用します。私はTシャツ、パンツの上に防護服とビニール手袋をそれぞれ2重に装着します。手袋がずれないように布テープで固定します。もちろん長靴を履きますがこれも汚染がないように防護服の裾の部分と布テープで固定します。マスクと帽子で作業準備が完了します。こんな状態ですので顔のほんの一部が露出するのみで個人の識別が困難なためスプレーやマジックで背中と胸に目印や名前を書きます。この状態で作業が開始されます。数分もすれば歩くだけでジワッと汗が出てきます。
 感染した農場は農場入り口附近で清浄区域と汚染区域に分けられています。一歩汚染区域に入ると基本的に作業が終了するまで外に出ることができません。作業が終わって着衣を全て脱ぐとTシャツとパンツは汗でびしょ濡れ、手袋には大量の汗が溜まり手はふやけてなかなか元に戻りません。
 また、明日も続きます。
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# by pathovets | 2010-05-27 16:41 | 口蹄疫 | Comments(0)