パソベッツこじま 大動物診療部 in 川南町

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あれも、これも、特別措置・・・

 口蹄疫が発生して様々な法律のもとで規制されてきました。その中でも、メディアに大きく取り上げられた「種牛問題」。本来は発症すれば例外なく同一農場の動物は、全頭殺処分されてきました。しかし、「特別措置」ということで5頭の種牛は守られました。最近では、あまり報道されませんが緩衝地帯を作る目的で早期出荷とワクチン接種による殺処分の対応がとられました。ワクチン接種後の殺処分は、まだ始まったばかりですが・・・。この緩衝地帯においても母牛と母豚は残してよいという「特別措置」がとられました。
 これらの「特別措置」は再開においての重要なポイントになるのは間違いないことです。種牛が残っていることである程度は系統が維持できますし、その種牛から次世代の優秀な種牛の造成も十分期待できます。また、母牛と母豚が残ることですぐにでも種付けが再開できますし、長年かかって作られた母方の系統も守られるわけですから。
 これは非常に危険な賭けで、結果よければ・・・ということです。しかし、これまで例外なく殺処分を受けざるを得なかった農家との公平性、まだ感染動物の見られていない地域への感染防御という面から考えると疑問が残る措置ではないか?と考えます。
 生産者に対する”情”を考えると一言で片付けることは困難ですが・・・、他に飛び火しないことを願うばかりです。
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# by pathovets | 2010-06-09 23:11 | 口蹄疫 | Comments(2)

受難のツバメたち

 連日、作業に出てふっと感じたことがあります。
この時期、ツバメたちが家の軒先や牛舎の梁などに巣作りをしていたり、すでに”りっぱなマイホーム”を完成させ卵を産んで抱卵している鳥たちがいます。

しかし、私達の殺処分の作業が終わると清掃・消毒の作業となります。このときは、牛舎の隅々まで清掃を行います。そして、天井も含め念入りに消毒剤が散布されます。さらに壁や床には石灰がこれでもか!というほど撒かれます。

消毒剤の散布はツバメたちの”マイホーム”にも及びます。何事か!と驚いた鳥たちは巣の近くを飛び回りながら警戒しています。この後、建築途中のマイホームを造り続けるのか?卵を抱きつつけるのか?

不安にかられながら私たちは現場を後にします。
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# by pathovets | 2010-06-08 20:25 | Comments(1)

埋却地を用意するということ

口蹄疫感染家畜の所有者は、遅滞なく当該家畜の殺処分・埋却を行わなければならない。

現実的には、県・国がある程度の協力をしてくれます。
特にワクチン接種個体については、自治体ごとに共同埋却地などの準備が進められているようです。

とはいえ、発生農家では埋却地の用意は基本的に所有者が主体。
これはとても大変な作業だと思います。
農家さんによって飼養頭数にはかなりの開きがありますが、まず所定の広さの土地を確保しなければなりません。特に養豚農家さんは飼料用草地などがなく、土地の確保に苦慮することが多いと聞きました。

そして、自前の土地を使う場合、もしくは土地を購入することができた場合、次に地元住民の同意を得なければなりません。
自分の土地といっても、自宅から離れた場所に埋却用の土地があり、その周囲が他人の生活圏内であったりすることもあります。
家はないものの、他の農家さんの畑が隣接していたり等々、とにかくたくさんの人に頭を下げなければなりません。
口蹄疫が発生してしまった農家さんでは、落ち込む暇もなく「早く土地を用意して処分しないと、周りに迷惑がかかる」と周囲に気を遣う方がほとんどです。
それなのに発生当初、今のように一般市民の理解が得られるようになるまでは、被害者の発生農家さん宅に心無い電話があった、という話もきいていました。
「ここしか使える土地がない。ここに埋めさせてほしい」と頭を下げられる周辺住民も大変です。
本当はいやと言いたい、という状況も多いと思います。
それでも、事は急を要する問題。もうどうしようもないので、農家さんは泣いて頭を下げられます。
とてもいやとは言えない状況だと思います。
川南町はもともと畜産の町であり、また歴史的に多くのよそ者を受け入れてきた開拓の町でもあるためか、概して寛容な方が多いと思います。
大変な悪臭が発生することもわかっている、将来にわたってこの土地がどのように変化していくのか誰もわからない。それでも、いいよと受け入れます。
その裏には、こういう事態でなければ起こる必要のない住民同士の確執も生まれているのかもしれませんが。

お隣の高鍋町は宮崎県内で最も面積が狭い割に人口密度の高い、ちょっとした地方都市的な雰囲気の町です。
そういう土地柄であるためか、なかなか周辺住民の同意が得られず、土地の確保が進まないようです。

お辞めになった後にあれこれ言うべきではないのかもしれませんが、赤松前農林水産大臣が「隠してないで早く土地を出せ」と言ったとかなんとか。真偽のほどは定かではありません。
デマであってほしいと願うとともに、国と宮崎県と各自治体と、より一層の相互協力をお願いしたいです。

(クミコ記)
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# by pathovets | 2010-06-08 12:32 | 口蹄疫 | Comments(4)

1日にどれくらいの汗が出るのだろう?

 私達作業に従事する者は、過去のブログにも書きましたが帽子、マスク、防護服、ゴム手袋(2重)、靴下、長靴を身に着けています。もちろん下着を身に着けています。ゴム手袋は防護服の袖口と布テープで固定、防護服の裾は長靴と布テープで固定され目の周囲が僅かに露出するのみです。掃除や消毒の際にはゴーグルを着用しますので、ほとんど露出部分がない状態となります。
 こんな状態ですので非常に暑い!着てまもなく汗がじわっと出始めます。午前の作業を終え、昼食時には手袋だけ外します。手袋には多量の汗が溜まっています。手は真っ白にふやけ、感覚すらおかしい状態です。さらには頭や顔から出た汗は首を伝い、Tシャツに吸い取られ、Tシャツがびしょびしょになるとパンツに吸い取られます。パンツに行くまでに手袋や肘のあたりにも溜まります。「最後の砦」のパンツもびしょびしょになると靴下から長靴へ・・・・
 こまめに水分補給しますから、脱水にはなりませんが・・・。自分の汗をみると人間はいったいどれくらいの汗がでるのだろう?と思ってしまいます。

 これから先、南国宮崎は益々暑くなりますが、知事の希望通り「夏休み前」には終わって欲しいものです。

 
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# by pathovets | 2010-06-06 21:12 | 口蹄疫 | Comments(3)

脱帽です!!!

 数日前に、私がお世話になっている養豚農家さんにお会いしました。毎日、各農場の処分に行くために集まる役場の前で、それも防護服を着て、こんなところで何を???

 実はこの養豚農家の方も数週間前に口蹄疫が発生し全ての豚を処分されました。
感染後、一度も話をしておりませんでしたので、いきなり会って何と声をかけていいやら・・・・
農家さんから「先生、お世話になりました。うちもダメでした」と
私は「大変でしたね」と声をかけるのが精一杯でした。

 しばらく、お互いに腰をかけたまま沈黙が続きましたが、「○○さん、今日はなんでここに?」と聞いてみました。
農家さんは「うちもひと段落したから、仲間のところの処分の加勢ができればと思って、今日から処分のお手伝いです!」。
 話を聞いてみると、既に口蹄疫で処分の終わったたくさんの農家の方々が作業の手伝いとして参加しているようです。将来への不安を抱え、気持ちの整理をつけ作業に従事することがどれほどのことか、私には想像もつきません。

                              本当に”脱帽”です。
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# by pathovets | 2010-06-05 16:35 | 口蹄疫 | Comments(8)